歯科診療ヒント (31)〜(35)

おおだち歯科通信NO.31 
「歯科医院の院内感染予防」 (3)
 前回に引き続き歯科医院の感染予防への取り組みで、切削道具やその他の消毒、また既に肝炎等の血液感染性疾患に罹っている方への対応ついてご報告させていただきます。
 ・切削道具(歯を削る道具)はグルコン酸クロルヘキシジンにて浸漬、その後耐熱性のあるバーは乾熱滅菌
 ・超音波スケーラー(歯石を除去する機器)のチップ(直接歯にふれる部分)は患者さんごとに乾熱滅菌
 ・注射針、注射液、メス(切開等に使用する鋭利な刃物)は患者さんごとに使い捨て
 ・すでに肝炎等の血液感染性疾患に罹っている方の治療機器に対する消毒、滅菌は基本的に一般の方の場合と同様です。理由は自分が感染症に罹っていても申告なさらない、あるいは罹っていることに気が付いてないなどの理由で、すべての患者さんが罹患している可能性を考慮し、対応致しております。また罹患している患者さんに対して治療拒否をしないのが基本です。ただし重篤な症状のある場合は二次、三次医療機関(専門病院や総合病院)を紹介しております。
おおだち歯科通信NO.32 
「歯科医院の院内感染予防」 (3)
NO.30およびNO.31にて「歯科医院の院内感染防止」の観点から当院の滅菌消毒について紹介いたしました。
 今回は使い捨て使用を前提にしている器具や備品を確認しておきたいと思います
 ・特に使い捨てを厳守しなければならないものは手術に使用するメス、麻酔用の注射針、注射液。
 これらは開院以来厳守しております
 ・エプロン…紙(防水仕様)のエプロンを使用して、使い捨てとした
 ・コップ…紙製のコップを使用し使い捨てとした
 省資源、地球温暖化等の問題もありますが安全を第一に考えれば使い捨てを優先すべきと考えます
 以上ですが、その他余談として皆様が院内で使用するスリッパも1回使用ごとに消毒用薬液及び洗浄液を使用して清掃しております。安心して診療を受けていただけるよう願っております。
おおだち歯科通信NO.33 
「歯周病について」 (1)
今回から歯周病についてお話したいと思います。
 歯周病とは いわゆる歯槽膿漏のことで、歯ぐき(歯肉)や歯の周りの骨に細菌が感染して起こる炎症性の病気です。
 歯周病の症状は 歯ぐき(歯肉)は赤く腫れ出血し易くなり、そのまま進行すると歯の周りの骨が溶けて歯がぐらぐらと動揺してきます。
 歯周病はなぜ怖いのか  はっきりとした痛みや変化を感じること無く、ゆっくりと進行して、気が付いたときにはかなり悪化している。
 そして、原因を取り除かなければますます進行し自然に治ることはありません。また中度、重度の場合は原因を取り除いても完治することはむずかし病気です。
 歯周病は生活に密着した病気、いわゆる生活習慣病の一つであり、 予防と治療は患者さん自身の自己管理が重要になります。
 概要はこのようなものですが次回以降詳しく歯周病のお話を進めてまいります。
おおだち歯科通信NO.34 
「歯周病について」 (2)
歯周病はP、P、P、などと程度により表します。
Pは比較的軽度で、十代後半ですでに多く見られます。この段階で歯周病の基本的な認識と対応が大切です。
Pは中程度の症状を表します。本格的な治療が必要です。
Pは末期の症状を表しています。治療をしても治ることは少なく歯を抜くことになります。
  まず、Pで比較的軽度なかたの治療についてお話したいと思います。
 まずは担当の衛生士さんを決め、歯の周りの歯石や歯垢などの汚れを落とし、同時に歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス(糸)等の使い方の説明を受けます。歯ブラシ指導においては希望で汚れのスコアーを記録するTBIを実施しています。
 自宅では説明を受けた清掃道具を使い歯の周りを清潔にします。ここで重要なポイントは「歯の周りの環境を清潔に長期にわたり維持することが治療である」という認識です。
  ご希望により清掃のお手伝いとして定期的にP.M.T.C.(プロフェッショナル メカニカル トゥース クリーニング)を行っております。
おおだち歯科通信NO.35 
「歯周病について」 (3)
歯周病はPPP、などと程度により表します。
 前回はPで比較的軽度なかたの治療についてお話ししましたが、今回はPで表される中程度の場合についてお話します。Pの場合は本格的な治療が必要です。検査結果で治療内容は分かれます。
 1、歯周ポケットの深さが3〜4ミリ程度
 2、歯周ポケットの深さが5ミリ以上
 注)お一人の方でも歯ごとに分かれることがほとんどです。
 まず前回でお話した基本部分の進め方は共通です。検査を終え、歯ブラシ指導を受けたあと「1、歯周ポケットの深さが3〜4ミリ程度」の歯肉炎の部位を超音波スケーラー、エアースケーラーと言う専用の機械を用いて歯牙の周囲に付着した歯石を除去していきます。根面や細かい部位は手用のスケーラーを用いて手作業で除去していきます。根面の汚れたセメント質、歯石の除去跡や着色でザラザラしていると歯垢や細菌が再付着し易くなってしまう為、最後に研磨を行います。その後は二度と御自分の、お口の中が今回の様に汚れてしまわない様、歯磨きに励んで頂く事になります。「2、歯周ポケットの深さが5ミリ以上」については次回に譲ります。


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