歯科診療ヒント (26)〜(30)

おおだち歯科通信NO.26 
「定期検診のすすめ」 (9)
 (4)義歯及び高齢者歯科検診 その2
 前回も触れましたが全身的に
 ・健康的な生活を維持しているか
 ・食べ物の好き嫌いや食生活に偏りがないか、また食欲があるか
 ・最近罹った病気があるか
 など注意しなくてはいけません。
  さて、本題ですが局所的にはやはり義歯と歯周病の管理がメインとなります。前回の「一般歯科の検診」でも述べましたが
 ・歯周病の状態の確認と必要なら再治療
 ・よく歯が磨けているか、また歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス(糸)の使い方が正しいか
 ・歯垢や歯石がないか
 ・虫歯や義歯の不良等でかみ合わせに問題がないか
 などですが、自分の歯と義歯が混在している場合には特にこまめな定期検診が必要です。意外と義歯は変化が大きいのです、6ヶ月もすると変化していると言われています。具体的には、食事による圧力(刺激)で義歯床の下の骨が吸収(少しずつ溶ける)していきます、よって義歯が下がり、残っている自分の歯の咬み合せが強くなります。そうなると負担過重となり、歯周病が進行します。また義歯の人工の歯も少しずつ磨り減り、やはり咬み合せが低くなり、同様な結果となります。
  このような理由で6ヶ月ごとの定期検診を薦めております。義歯の調整や修理で歯周病の進行も軽減できます。
おおだち歯科通信NO.27 
「定期検診のすすめ」 (10)
(5)妊娠時の歯科検診 その1
  妊娠時の検診は期間的には短く、妊娠初期から出産後1年間ぐらいの合計2年程度必要かと思われます。その後は一般検診に移行していくことも可能です。
  それでは何故妊娠時の定期歯科検診が必要なのでしょうか、少し述べておきましょう。
 ・妊娠によって身体の状態が胎児中心に変化する
 ・これにより、カルシュウムを含めた栄養分が胎児の成長に多くを使用される
 ・また、母体のホルモンのバランスが変化する
 結果として、これらのことは母体にとってはかなりのダメージにつながります。
 また、まれですが歯周病などに存在する細菌の内毒素から起こる低体重児早産なども注意が必要です。(内毒素について詳しくは当院のHPをご覧ください)
 お口の中の具体的な症状としては
 ・歯周病に罹患しやすくなり、進行が早くなる
 ・ホルモンのバランスの変化による歯肉炎
 ・虫歯になりやすく、進行が早くなる
 ・口内炎など口腔粘膜の疾患に罹患しやすい
 などですが、放置すると簡単に重篤な状態になります、特に初めての方は注意が必要です。
 紙面の関係で検診の要点については次回にさせていただきます。
おおだち歯科通信NO.28 
「定期検診のすすめ」 (11)
(5)妊娠時の歯科検診 その2
 さて、前回の内容でおおよその状況を理解していただいたと思いますが、一般歯科の検診に加えいくつかの注意点があります。
 ・妊娠初期と末期は安定しないのであまり無理をしない
 ・歯科の注射麻酔等は胎児への影響を考え、麻酔を伴う治療はできるだけ避ける
 ・具体的には応急処置で対処するようになります
 ・欲を言えば、計画的な出産が可能なら妊娠前に歯科治療は終わらせておく
 以上のように多くの拘束の中で受身な治療となります。
 実際の検診の流れは
 ・妊娠4ヶ月目に入るまでは簡単な応急処置と歯間ブラシとデンタルフロス(清掃用の糸)を使用した徹底したブラッシング指導
 ・4ヶ月を過ぎ安定期に入ったら虫歯の簡単な治療はすすめていきます、また歯石除去もおこないます
 ・8ヶ月に入ったら少し様子をみて、出産後にそなえます
 ・出産後は意外と安心してしまう方が多いのですがこの時期が全身、口腔内ともに大切な時期です、母体に影響が少ない治療からを開始します
 ・この間3ヶ月(希望により検診期間を短縮)ごとに定期検診を行い、ブラッシング指導を継続します
 このような流れですすめてまいります。
おおだち歯科通信NO.29 
「定期検診のすすめ」 (12)
(6)その他の検診
 ・障害のある方の定期検診
  軽度の方や脳梗塞等で後天的に障害を持った方は当院で行っていますが、中度、重度の方で障害者手帳をお持ちの方は大和市保健福祉センターにて行っています。思うようにお口の中の手入れが出来ないのでとても大切です。
 ・寝たきり等の方の定期検診
 寝たきり等で歯科医院に通院できない方は基本的には以前に書いた「かかりつけ歯科医院、かかりつけ患者」の関係の中で検診をすすめていかなくてはいけませんが、一部訪問診療等を行っていない歯科医院もあります。そのような場合は大和市か、秋から歯科医師会に出来る窓口で対応してもらえます。
 ・成人歯科検診
  また特殊な形として各市町村で成人検診を行っています。大和市では40歳の節目に行う成人歯科検診、各歯科医院にて受け付けております。
  今まで12回に分けて定期検診について話してきましたが、次回からは院内感染防止への取り組みについてお話したいと思います。
おおだち歯科通信NO.30 
歯科医院の院内感染予防(1)
以前テレビ等で「歯科医院での治療による感染」についてかなり話題になっておりました。皆様の不安は大きいのではないでしょうか。今回は歯科医院の院内感染予防の取り組みについてご報告しておきたいと思います。
 ・歯科医師、歯科衛生士等診療に携わるすべてのスタッフは診療前の手指の洗浄、消毒を励行し出血を伴わない複雑な診療以外はゴム手袋を使用
 ・基本セット(ピンセット、ミラー、短針等)と外科器具、印象トレー(お口の形を採る道具)その他の器具は流水洗浄後高圧蒸気滅菌器(オートクレイブ)にて滅菌
 ・バキュームチップ(唾液等を吸引する道具)は流水洗浄後ピューラックス(6%次亜塩素酸ナトリウム)に浸漬後高圧蒸気滅菌器にて滅菌
 ・リーマー(歯根の治療に使う針金)は使用頻度が高いのでウイルクリーン(0,2%塩化ベンゼトニウム)にて浸漬清掃後300度程度にて乾熱滅菌(ガラスビーズを高温に熱した所に数分挿入)
 紙面の関係で切削道具やその他の消毒、既に肝炎等に感染している方の治療などは次回にさせていただきます。


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