歯科診療ヒント (36)〜(40)

おおだち歯科通信NO.36 
「歯周病について」 (4)
前回に続き今回はPで表される中程度の場合の「2、歯周ポケットの深さが5ミリ以上」についてお話します。
 1、歯周ポケットの深さが3〜4ミリ程度
 2、歯周ポケットの深さが5ミリ以上
 前回までお話した基本的な対応と治療を終了後、状態が不良で5ミリ以上のポケットが改善されない場所は今まで以上に歯周ポケットの深い所まで麻酔下で施術を行う治療に入ります。1回の施術で行える歯牙の本数は部位、状態、施術中、施術後の患者さんの負担を考慮して1〜4本位迄となります。
 まず専用のキュレットスケーラーと呼ばれる器具を用いて歯の根の表面に付着、沈着した歯垢、歯石に汚染された組織等を除去し硬く滑らかで清潔な状態に仕上げます。更に細菌に汚染された歯肉も有れば先程の様な要領で、それらを除去します。次に、それらの作業で歯周ポケット内に残された削りカスや細菌を超音波スケーラーで洗い流します。そして最後に消毒し必要に応じて抗生物質を歯周ポケットに注入します。今回は深い位置までの治療となりますのでその後の経過観察が大切となります。経過観察中は担当の衛生士さんが丁重にケアしてまいります。
Pについては次回に譲ります。
おおだち歯科通信NO.37 
「歯周病について」 (5)
さて、Pで歯周ポケットの深さが5ミリ以上の治療について前回お話しましたが、予後観察後、状態が改善されない場合について今回話をいたします。
 検査の結果、症状の改善見られない部位(歯ごとに状態は異なります)では担当医の診断により、もう少し踏み込んだ外科的な処置をお薦めする事が有ります。勿論、十分な説明をし、患者さんの同意を得てから行います。外科的な処置を好まない方には無理にお進めしません。
 症状に応じていくつかの手術方法あります。基本的には歯肉を少し剥がして歯の根を目で見える状態にし清掃をするといった内容です。施術は麻酔下で行い、だいたい30分〜1時間程で、翌日消毒にいらして頂きます。又、数針縫うこともあります。
 この場合も、術後の経過観察とお口の中の環境管理が大切となります。
 詳細はこちらを参照してください。
おおだち歯科通信NO.38 
「歯周病について」 (6)
今回は歯周病で重篤な場合(P)についてお話したいと思います。歯周ポケットの深さが8ミリから10ミリ以上あり動揺も多く、上から押すと少し沈むような感じもあります。ここまで悪化すると、治療をしてもあまり改善しないのが現状です。
 このような場合、歯を抜くことになりますが、多くの方が何とか延命して欲しいと希望されます。
 痛みや、炎症が少なく症状が軽度な場合はしばらく延命を試みます。多くは直ることはありませんがご本人の了解を得て、歯の周囲の清掃、洗浄、抗生物質の貼付等を定期的に繰り返して行います。必要に応じて付近の健康な歯を利用して、ボンドで動揺を止める(暫間固定)処置を併用する場合もあります。短いときには1ヶ月程度で抜くことになる方もいますが、長い場合は2,3年延命できる場合もあります、ただお約束は出来ません。大学病院等でだいぶ研究が進んでいますが、Pになった場合は抜くことから逃れることは不可能なようです。
 大切なことはやはりここまで悪くする前に治療に入ることです。
 詳細はこちらで参照してください。
おおだち歯科通信NO.39
「お口病気と全身の病気」(1)
・お口は身体の調子を表す信号機
 長年患者さんのお口の中を見ていますと、いろいろ感じることがあります。仕事や家庭の環境の変化、また加齢との関係等、原因は千差万別ですが、お口の中の変化とお身体の状態はかなり密接に関係しています。
 歯周病の定期検診でおいでの当時50歳後半の男性の例ですが、症状は、以前より「歯肉が腫れている」、「口臭が増した」、「清掃状態が良くない(本人は今まで同様に清掃しているとの事)」、また「疲れた感じの顔」、「肌が荒れている」。など細い変化がたくさん見受けられました。その日は口腔内の清掃をして計画を相談し、最後に「お疲れの様子ですが」とお聞きしたところ「ちょっと仕事が忙しくて」との事。私は「出来るだけ睡眠や休養をお取りください」と話して終わりました。
  それから1ヶ月ほどして、偶然奥様にお会いしたら、実は「主人が脳梗塞で先日入院しました」と伝えられ、私は心の中で「しまった!もっと強く警告をすべきだった」のでは、との思いが頭を過ぎりました。
 今は、このような事例ではできるだけ状況を説明して注意するようにお話しています、皆様も似たような症状のある方はご注意下さい。
おおだち歯科通信NO.40
「お口病気と全身の病気」(2)
お口の中に炎症があり細菌が多い状態
 前回はある患者さんの実例に触れましたが、今回は「お口の中に炎症があり細菌が多い状態」がなぜ脳梗塞や心筋梗塞の原因になるのか考えてみたいと思います。
 普通、指に怪我をしたり、転んでひざをすりむいても炎症は2,3日でなくなり傷口も血液が固まり感染を防いでくれます。しかし歯槽膿漏のような慢性的な疾患の場合は、毎日、細菌が歯肉等を攻撃し炎症が連続的に続いています。このような環境では体調が悪くたった時や何かの刺激、ストレスで毛細血管から細菌が血管の中に入り感染を起こしやすくなります。この感染からの毒素や炎症を引き起こす物質等で血栓が出来るといわれております。そしてこの血栓が心臓の冠動脈で起これば心筋梗塞、脳で起これば脳梗塞となるので重篤な結果を招くことになるわけです。このような状態を招かないように予防を大切にしていただきたいと思います。
 まず、この欄の第1回目で掲載した「歯の治療が嫌いなら歯の清掃」(当院HP こちらの歯科診療ヒント1)を参考にして100点満点の歯ブラシを実行してください。
 詳細は次回にしたいと思います。


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