歯科診療ヒント (11)〜(15)

おおだち歯科通信NO.11
「小児歯科治療の注意点」 (5)
 今回まで5回にわたり4〜5歳までの小さなお子さんの治療についてお話して来ましたが、このような無理な治療をするよりは「小児歯科治療の注意点 その1」に書いたように理想は「虫歯を作らない」に集約されると思います、そのためにはまず予防です。
 1)歯ブラシによる歯の清掃をきちんと行う 
 2)早いうちにフッソ塗布を行う
 3)奥歯(臼歯部)の溝にシーラント(溝を埋めるつめもの)をする
 4)お砂糖の入った食べ物は減らす、もし食べたらできるだけ早く歯ブラシで清掃する
 最近の研究でお砂糖を摂取しなければ「虫歯菌は繁殖しない」と発表されています、またお砂糖のない時代には虫歯もほとんどなかった事も証明されています。今の時代お砂糖を食べないということがいかに困難であるかは承知していますが、「できるだけ甘いものは食べない、食べたらすぐ歯ブラシをする」を守りたいものです。
 歯ブラシのこつはお子さんに絶対に痛い思いをさせない事です、お父さんお母さんが無理やりお子さんの口の中に歯ブラシを入れて磨いた時に「痛い」あるいは「怖い」と絶対に思わせない事です。最初は磨けなくても優しくていねいに教えてあげて下さい。そのち上手に磨けるようになります、気長にお願いします。 上記の2)、3)の項については歯科医に相談して下さい。
おおだち歯科通信NO.12
「義歯(入れ歯)について」 (1)
今回は義歯について少し思いを述べたいと考えております。
 まず、人間を含めて哺乳類においては歯と生命の関係は大変密接で、おおよそ歯の喪失と生命の喪失は正比例すると考えられております、歯は健康でその他の事故や病で死ぬことは当然多いと思いますが、自然界では一般に歯の喪失は死を意味します。人間だけは科学の力で義歯等を装着して延命しますが、自分の歯で咬むのとは大きな差があります。義歯では2、3割程度しか回復できないと解釈されており、一般に長寿の秘訣は自分の歯で咬み続ける事と言われています。
 ・まだ多くの歯ある方は高齢になってもいかに自分の歯を残すか(80歳まで20本は歯を残そうと言う運動を8020財団として日本歯科医師会と厚生労働省で推奨して いる)
 ・もう歯のない方はきちんと咬めるよう義歯管理を徹底する
 この2点に絞られると思いますが、義歯の話となると2番目の項目を中心に話を進め ることになります。
おおだち歯科通信NO.13
「義歯(入れ歯)について」 (2)
今回は義歯の管理と要領、注意点について少し述べたいと考えております。
 よく「義歯はどのくらいの期間使えるのか」という質問を受けますが、これは大変重要な事柄です。義歯は人の口の中で骨(顎骨)の上に肉を挟んで乗っています、時間の経過とともにこの骨(顎骨)の部分が少しづつ溶ける(吸収する)事により義歯が沈み合わなくなります。義歯が破折したり、金具が外れたりすると皆様はすぐに不具合を感じますが、骨が溶けて(吸収する)義歯が沈んだ事はなかなか気が付きません、その結果噛み合わせに異常が出たりします、また一部自分の歯が残っている場合は針金のかかっているところだけ元の高さに残り、そこから遠いところは沈み、義歯が少し傾斜することになります。このようになると針金のかかっている歯には異常な力がかかり、動揺したり痛くなったりいろいろな病気を誘発することになります。気が付かないうちにお口の中の義歯は非常によくない状態になっています。
 骨の変化は年齢や歯を抜いた時期等で異なりますが、このような状態にならないためには半年から1年に一度定期検診を受けて、義歯の状態を診てもらうようにしてください。 今月のポイントは「義歯も定期検診を受けましょう」と言うことですね。
おおだち歯科通信NO.14
「義歯(入れ歯)について」 (3)
前回はお口の中の変化に伴い義歯でも半年から1年に一度定期検診を受けるようお話しを致しました。さて今月は義歯の具体的な注意事項を述べてみたいと思います。
 ・義歯に慣れましょう
 特に生まれて始めて義歯を使われる方は大切な事です、今まで口の中になっかたものです、気になって当たり前です。傷が付いて痛いとか噛み合わせが一部に偏っているなどという状態があればすぐ調整をする必要がありますが、異物感があったり気持ちが悪い等の事は慣れるまで忍耐も必要です。 慣れるまでは大きなもの堅いものは無理に食べないようにしましょう。
 ・義歯を清潔に
 義歯は大変汚れやすいので毎食後はずして歯ブラシでよく洗いましょう。ただし歯磨き粉の使用は禁物です、合成樹脂ですので減ってしまいます。義歯だけでなく、義歯をはずしてバネのかかっている歯もていねいに歯ブラシで清掃してください。
 ・その他の注意点
 義歯は精密な適合を必要としますので自分で義歯を削ったり、バネを曲げたりしないで下さい。
 義歯を火や熱湯など高温にさらすのは変形しますのでやめましょう。
 以上義歯をお使いの方はご注意ください。
おおだち歯科通信NO.15
「義歯(入れ歯)について」 (4)
 今回は顎堤(義歯が乗っている顎の骨の盛り上がっている部分)についてお話ししたいと思います。
 NO.13でお話ししましたが義歯を使っていて時間の経過とともにお口の中で一番大きく変化する部分が顎堤です。時々顎堤の平らな人がおりますが、このような方は義歯がお口の中で動いてしまって思うように咬めません。それではなぜ顎堤が吸収(年月の経過の中で何らかの理由で骨が解けてしまう事)してしまうのでしょうか。赤く腫れたりする「炎症」や義歯が合わなくて余計な力がかかる時などですが、一番の要因は時間の経過です。個人差はありますが歯を抜いて時間が経過すれば今まで歯を支えていた歯槽骨が不要になり吸収してだんだん低くなります。
 「歯をできるだけ抜かない方がいい」
 という言葉をよく聞くと思いますがこのような理由からです。
 若くして歯を抜いた人は10年、20年と経過して行くと義歯を新しくしてもだんだん義歯が安定しなくなります。皆さんもできるだけ歯を抜かないように頑張りましょう。


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