歯科診療ヒント (106)〜(110)

おおだち歯科通信NO.106
歯周病治療、および予防への新たな対応
ここ数年、歯周病に対して新たな発見が相次ぎました。歯周病と成人病との相関性は驚くものがあります。特に歯周病が糖尿病を引き起こす等の研究結果です。そこで最近医院側でも歯周病への取り組みが積極的になっています。
ブラッシングは「消極的な予防」とのイメージがありますが新たに積極的な予防を超えた「治療目的」のブラッシングが提唱されています。方法は簡単で歯肉と歯との間を専門に清掃する歯ブラシと殺菌性のあるリンスの使用です。
一般の歯ブラシと歯間ブラシやデンタルフロス(糸)での清掃後、もう一度専用の歯ブラシを使って清掃します(一回法もあります)。そのため面倒だとの指摘もありますが長年ブラッシングしても炎症が引かないと悩でいる方にはてきめんで、スーッと炎症がお収まります。重篤な場合は抗生剤(最低限の量で初回のみ)を併用することもあります。この抗生剤は既存のものとは違い、歯周病菌への効果が大変高いのです。過去にあった抗生剤の連用による治療方法とはまったく別のものです。歯周病で悩んでいる方は対応している歯科医院にてご相談ください。
おおだち歯科通信NO.107
歯磨きの新たな効用発見
『朝、起きてすぐの歯みがきが、あなたを守る(川合満著)』が話題になっています。内容は「起床直後の歯みがきがカゼ・インフルエンザ予防に効果」があるというものです。
寝ている間はだ液が減り結果として細菌が増えます。その細菌が出す「タンパク分解酵素」が悪さをするというものです。
インフルエンザウイルスの表面には、タンパク質でできた突起(HA,NA)があります。この先端はU字形で、通常では特に悪さはしません。ところが、細菌が出す大量のタンパク分解酵素と出会うと、U字型が裂けて、先端が針状になってしまいます。その結果、インフルエンザウイルスは、わたしたちの正常な細胞に刺さり、細胞内に侵入してくるのです。これがインフルエンザに感染する仕組みです。
歯みがきをせずに朝食をとると、口の中の細菌は、食べ物とともに飲み込まれていきます。しかし、途中でその一部は粘液にへばりついて、口の中や喉にとどまるのです。そして、それらの細菌にインフルエンザウイルスがつき、呼吸とともに、肺のなかに吸い込まれて感染が起こるとのこと。忙しい方は目覚めたらせめて十分なうがいをしてください。
以前の歯科通信はこちらをご参照ください。
おおだち歯科通信NO.108
歯周病治療のための「新歯ブラシ法」について
昨年の秋、「歯周病治療、および予防への新たな対応」という表題でこの項に投稿してから当院では多くの方に新歯ブラシ法をお薦めしてまいりました。まだまだ初期報告ではありますが結果は予想通り良好で歯周病治療に対し大きな前進と考えています。
長期にわたりP.M.T.C.等で当院に通院されている方でだんだん歯周病が悪化して、近い将来歯を抜かなくてはと思われる方々に『新歯ブラシ法』を提案し、数カ月観察を続けた結果
大変良好                                    70%
以前よりだいぶいい                     20%
少し良くなったが期待ほどでは      10%
以上のような数字が出ました。
歯周病は簡単に直る疾患ではありませんので大変良好と判断された方も完治したわけではありあません。30年、40年とかけて罹患した病気ですので良好な状態で1年、2年と追跡調査をして初めて結果が出てまいります。
コロンブスの卵のような発想で、自宅で出来る簡単なブラッシングです、一度はお試しください。 
投稿のバックナンバーは、こちらを参考にして下さい。
おおだち歯科通信NO.109
歯周病で認知症悪化
いままでも歯周病が糖尿病をはじめ多く病気の発病や経過に関与している事はこのコーナーを利用してお話して来ましたが、今回は認知症との関係を裏付ける研究発表がありましたのでお話させていただきます。
名古屋市立大大学院の研究チームは歯周病が認知症の一種であるアルツハイマー病を悪化させることをマウスの実験で明らかにし、日本歯周病学会で発表した。まだ、動物実験の範囲であるが「歯周病治療で、認知症の進行を遅らせられる可能性が出てきた」と述べている。ただ、認知症の原因はいまだ完全には解明されておらず、歯周病の治療を進めても認知症が治るということではないが少しでも予防や症状悪化の遅延が図られれば大変有益である。
歯周病治療は一般的であり治療自体に外科的手術を除きほとんどリスクはありません。動物実験の段階ではあるが早々に取り組むべきと思います。歯周病は成人病で全身の免疫力との関係もあり完治しにくい病である。日常の手入れ、特に歯ブラシとフロス(糸ようじ)や歯間ブラシなどの併用で十分安定させることはできます。
投稿のバックナンバーはこちらを参考にして下さい。
おおだち歯科通信NO.110
成人病のバロメーター、歯周病
実は歯周病も成人病の一つと言われています。
成人病の予防には免疫力をあげることが一番ですが「どのようにして免疫力をあげるか」、「自分の免疫力は今どの程度か」ということがなかなかわかりません。余談ですか、もし免疫力を数値化し検査でわかるように出来ればノーベル賞も夢ではないかもしれません。
さて、歯周病では進行具合や状態を
・盲嚢の深さを測る
・歯科用のエックス線で骨の状態を確認する
・歯の動揺をみる
等でP1からP3であらわされる歯周病の進行程度がわかります。歯科医院で「盲嚢何ミリ程度」と数値で説明を受けたり、エックス線で骨の下がり具合(吸収)を目で見ることができます。局所的には歯ブラシ等、全身的には免疫力の合算で歯周病の現在があります。局所的な歯ブラシは免疫力と関係ありませんからこの部分を差し引けばあなたの現在の免疫力を推測する事は可能です。免疫力は複雑な事柄の合算ですので、あくまで参考の域は出ませんが真っ暗な中で自分の将来を考えるより、少しでも光があれば道しるべにはなると思います。
バックナンバーはこちらを参考にして下さい。


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