歯科診療ヒント (46)〜(50)

おおだち歯科通信NO.46
「医食同源 身体と食べ物」(2)
前回、「医食同源」のキーワードで少し話を進めたいと述べましたが、基礎知識として前回に続き「身体と食べ物のかかわり」について述べたいと思います。 (2)唾液の役割
 唾液は消化酵素(アミラーゼ)でデンプンを分解する以外に多くの仕事をしています。
 ・お口の中を湿らせ嚥下や会話を助ける
 ・HPの維持(酸性になると歯のカルシュウムイオンや燐酸イオンが溶け出し虫歯の原因となる)
 ・発ガン性物質の無毒化
 ・抗菌作用
 ・唾液の自浄作用で虫歯や歯周病の軽減(唾液が少ない人、粘性の強い人ではお口の中の自浄作用が十分に発揮されません)
 (参考、食物や顎を動かしたときなどの刺激で出る唾液は粘液が強く、普段、刺激がないときに常時出ている唾液はサラサラしています、分泌量や両者のバランスが関係しています)
 などです、大変大切な役目を負っていますので噛むことを大切にしたいですね。

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おおだち歯科通信NO.47
「医食同源 身体と食べ物」(3)
健康のことを考えると必ず思い出すことがあります。以前当院に勤めていた若い先生は甘い物が好きで、コーヒーや紅茶を飲むとき必ず驚かされました。カップに八分目ほど入った飲み物にお砂糖を入れるのですか、10分ほど話をしながら、すでに私は飲み終わっているのですがまだお砂糖を入れているのです。目安をたずねると飲み物の中央からお砂糖の山が見えるまでとのこと。「甘すぎて飲めないでしょう」とたずねると、「このどろどろした甘さがたまらない」とのことでした。身体に悪いからやめたほうがいいと何度も言いましたがなかなか言うことを聞きません。それから3ヶ月ほどして緊急入院したので欠勤しますとの電話が入りました。自然気胸という肺の病気です。自然気胸は原因がわからないといわれる病気ですが「これだけ不摂生な食生活では当然は」と思いました。過剰のお砂糖は体内のカルシュウムを消費します。以前このコーナーでお話させていただきましたがカルシュウムは健康に大変重要です。お砂糖の取りすぎに注意しましょう。

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おおだち歯科通信NO.48
「医食同源 身体と食べ物」(4)
前回、「自然気胸」の話をいたしましたが、続きをお話したいと思います。気胸が完治して出勤した日にお砂糖の減量と食生活の改善を勧めたところ、本人いわく「父親も罹っているので遺伝だから関係ないです」との返事でした。 気胸と生活習慣病は基本的には違いますが、癌や腫瘍、高血圧,糖尿病、歯周病などの生活習慣病を含め多くの病気には遺伝子(感受性遺伝子)が関係していることいわれています。それでは遺伝子が発病のすべての原因になっているのか、あるいは食生活を含め日常の健康に留意した生活をすれば防げるのか大いに気になるところです。専門家の意見では「生活習慣を改善することで多くの場合、生活習慣病を生涯発症させないことや発症を遅らせたり、症状を軽減らせることができる」とのことです。食生活を含め生活習慣を改善し良好にすることで、これら遺伝子をおさえて、健康を維持することは可能ではと考えられます。次回は感受性遺伝子について触れたいと思います。

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おおだち歯科通信NO.49
「医食同源 身体と食べ物」(5)
 今回は前回、登場した疾患感受性遺伝子についてお話したいと思います。
  歯科に直接関係ある代表的な生活習慣病は歯周病ですが糖尿病や高血圧症は日常的に大変多く、歯科治療においてそのかかわりは大変密接です。
  これらの病気を含めた生活習慣病、及びその他の一般的な病気(例えば喘息、通風など)は原因遺伝子を含む複数の疾患感受性遺伝子や環境要因により発症する「多因子性遺伝性疾患」と言われ、最近多くの医療関係者によりこの研究が活発に進められています。
  実際の応用としては、食塩のとり過ぎによる高血圧症についてはよく知られていますが、とり過ぎですべての人が高血圧になるわけではないようです。「高血圧症の発病に深く関わっている食塩感受性遺伝子を持っている人を特定し、小さい頃から減塩を含む生活習慣の指導でその高血圧発症やそれに起因する生活習慣病を未然に防ぐ」という研究です。近未来の医療では直接、遺伝子への処置により疾病を予防することも現実のことになると思いますが、現段階では食生活等の生活習慣の改善が最良の薬だと思います。

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おおだち歯科通信NO.50
「医食同源 身体と食べ物」(6)
 前回は生活習慣病に関係のある疾患感受性遺伝子についてお話ししました。歯周病、糖尿病、がん、高血圧症を含めた生活習慣病やアルツハイマー型痴呆に関係する遺伝子などが最近研究されています。ヘビースモーカーでも肺がんにならない人,たくさん食べても太らない人など不公平のようですが遺伝子によって大きく変わってきます。
 アメリカ合衆国政府は1977年に 『 ガン、心臓病、脳卒中など(その他80以上の病名が挙がっています)現代病は食生活の間違いで起こる"食源病"である』と解明して、深刻なビタミン・ミネラル不足を世界に警告し、食生活を中心に生活習慣の改善を国レベルで取り組んでいます。その結果最近、がんをはじめ生活習慣病の罹患率や死亡率が減少しています。遺伝子の影響はあるが,やはり生活習慣が大きな要素なのです.
  狩猟民族の欧米とは違い、日本人は農耕民族ですので穀物中心の食生活が身体に適しているようですので、肉類を減らして魚と野菜中心の食事が良いと一般的には言われています。

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