インプラント体(フィクスチャー)表面性状の違い
インプラント体(フィクスチャー)表面性状の違い

Ti Unite(タイユナイト)タイプとHAコーティングタイプの比較
 比較をシンプルで分かりやすくしなくてはいけないので外国メーカーと国産それぞれ1社の比較を行っ
てみましょう。

 
ノーベルバイオケア(本社スウェーデン)社

 外国メーカーの代表格はノーベルバイオケア(本社スウェーデン)社でしょう。同社はブローネマルクの
メーカーであります。ブローネマルクインプラントは、スウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマル
ク博士がチタンと骨が完全に結合することを偶然発見したことから生まれたもので、1965年から臨床応
用が開始された世界初のインプラントシステムです。そのため最も長い臨床実績があり、最も信頼性が
高いインプラントシステムだと言われています。
ブローネマルクインプラントの表面性状は当初TPS(Titan Plasma Spray)でしたが、現在ではTi Unite
(タイユナイト)という、ノーベルバイオケア社、自社開発のものになっています。これは、インプラントのフ
ィクスチャー表面の厚い酸化層にミクロの孔を設けることにより、表面積を広げ、骨とインプラントの結合
「オッセオインテグレーション」を促進するものです。この結果、従来よりもインプラントの成功率は大きく
向上しまた。
下記ホームページを参照してください
http://www.quint-j.co.jp/dentalfile/47/pdf/P045-060_ADC07_Nobel.pdf#search='
ローネマルクシステム独自の卓越したインプラント表面'

酸化チタンインプアントに発見された新たな問題点
 酸化チタン表面の劣化の問題は最近大きく取り上げられている。インプラント体(フィクスチャー)を製
造して工場から出荷後3ヶ月で表面の劣化は48パーセントに及ぶと言われている。どのような名人が埋
入しても10本に1本程度失敗する理由がここにあったのではと考えられてている。紫外線の照射の研究
と普及を急いでいただきたい。(当院お勧めの下記AQBインプラントはコーティングタイプのフィクスチャー
ですのでこの問題はありません)
 
 2009/05/17 16:07 【共同通信】
 【ワシントン17日共同】歯科のインプラント治療で使われる人工歯根などのチタン材料は製造後、骨
細胞との接着力が半分以下へと急速に劣化するものの、紫外線の照射で回復することを、米カリフォル
ニア大ロサンゼルス校歯学部の小川隆広准教授(修復・インプラント学)らのチームが17日までに発見
した。研究の一部を近く英国の専門誌に発表する。

 劣化後の接着力を2−3倍に高める技術を、日本で年内に実用化させるための準備を進めている。世
界で年間数百万人が利用しているとされるインプラントなどの治療効果向上に役立つと期待される。
 失った歯を再建するインプラント治療では、ねじのようなチタン製の歯根を手術であごの骨に埋め込
み、骨の細胞が歯根を覆って固定される4、5カ月後に、人工の歯をかぶせて完成させる。
 チームによると、チタン材料は製造直後から空気中の炭素が表面に付着し、細胞との接着力が1カ月
後に約半分に、実際に使われることの多い数カ月後には約3分の1に、それぞれ低下することが分かっ
た。
 小川准教授によると、接着力が低下すると歯根が抜け落ちるリスクが高くなる。
 一方、チームは特定の波長の紫外線を照射すると炭素が除去され、接着力は照射しない場合に比
べ、埋め込み後の早期には3倍、最終的には1・8倍に高まることを、ラットの実験で確かめた。

AQBインプラント(アドバンス社)

 一方国産メーカーではAQBインプラントが注目されています。AQBインプラントはアドバンス社が製造し
ている、国産のインプラントです。同社は国内メーカーではありますがHAコーティングタイプとしては世界
的に評価され始めています。
 AQBインプラントはインプラント体(フィクスチャー)表面に生体組織と親和性が高い、リン酸カルシウムの
一種ハイドロキシアパタイト(HA:Ca10(PO4)6(OH)2 )をコーティングしております。
 しかし、高温・高圧でないと結晶化しにくく、HAをコーティングしたチタンやチタン合金インプラントでは体
内での長期使用を考えた場合、金属成分の溶出などが考えられます。そのため十分な安全性を追求し、
再結晶化HAコーティングインプラントを開発しました。高温で比較的分解しにくく、骨伝導能を示すリン酸
三カルシウム(TCP:Ca3(PO4)2 )からプラズマ溶射によって薄膜コーティングした後、水熱処理によって
再結晶化HAコーティング層に変換しています(日本特許番号第3198125号)。この特許により国内をはじ
め海外メーカーも真似が出来ないとされています。詳細は同社のホームページ
http://www.aqb.jp/aqbpro/ha.php
を参照してください。
 AQBインプラントは1994年より販売が開始されましたが、外国メーカーと比較して値段の安さ、患者さん
への負担の少なさから、販売実数が100倍以上になり国内シェアも3位にまで上がってきています。同じ
HAをコーティングでも他社のHAをコーティングとは別物と考えられます、後記の臨床面での比較をご検証
ください
従来のHAを溶射したコーティング層

 プラズマ溶射法のもつ高温、急冷過程によ
り、分解・溶融状態で基盤に到達するため、写
真のような飴状にガラス化した様子が観察さ
れます。
分解生成物として強アルカリ性を示すCaO等を
含有するため、結晶性が低く、純度が低くなっ
ています
再結晶化HA工程を施したコーティング層

表面にHA特有の針状、六角柱状の結晶が観
察され、HAの純度が高いことが観察できます








臨床面での比較

ブローネマルク
AQB
当院での適応術式
主にツーピース
主にワンーピース
インプラントが骨と結合する期間
3〜4ヶ月
1.5〜2ヶ月
インプラント表面性状
Ti Unite(タイユナイト)酸化チタン
再結晶化HAコーティング
サイナスリフト術での対応
骨添加が必要
骨添加不要

 この表からHAコーティングタイプは骨との結合の速さがわかります、またサイナスリフト術での骨添加
不要とは生体との親和性が驚くほど高い事を意味し、インプラント体の周りに骨を作ってしまいます。この
ような理由から最近急激にシェアーを増やし、結果として安価で扱う歯科医院が増えています。安いから
良くないとは言いきれない理由がここにあります。

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