歯科診療ヒント (6)〜(10)

おおだち歯科通信NO.6
「カルシウム(Ca)の効用」 (2)
前回はカルシウムの役割とその必要性について話をしましたが、今回は体内のカルシウムの浪費防止について話を進めたいと思います。
 最近ケーキの食べ放題やケーキバイキングなどという言葉を広告でよく見かけますね、さてこのケーキなに含まれている「お砂糖」が今日のキーポイントです。お砂糖は必要以上に体内に入ると身体では毒という認識持っています、解毒には大切なカルシウムを大量放出する事で対応しています。ここに大きな問題があります、カルシウムは一度に大量吸収できませんからこつとつと毎日少しずつ体内に吸収しています、がちょっとした甘いものへの誘惑が日々のこの努力を無にします。運動をして血糖値(血液内の糖の量)が下がっている時にはお砂糖は短時間で血糖値を上げる作用がありますから毒ではありません、大切な物質と言うことになります、またそれを越えて必要以上に体内に入るとまた毒に変わります、大変めんどうな物質です。 このポイントを十分考えて歯と身体の健康に注意してください。
おおだち歯科通信NO.7
「小児歯科治療の注意点」 (1)
 お子さんの歯科治療に悩まれているお母様は多くいらっしゃると思います、我々歯科医師も治療に伴うお子様の心理的なリスクについてよく悩みます。4〜5歳までの小さなお子さんの場合は特に問題です。
  小さいお子さんにとっては自分一人で戦わなくてはならない初めての社会的試練となります、待合室や診療台の横にお母様がいらしても、痛みや不安などの苦痛をお母様に変わってもらう事はできないのです。でも治療を行わなければならないと本人をはじめだれもがわかっているのです、社会的試練との遭遇です。
 さてそのリスクをなくすにはどうしたらいいのでしょうか、
 (1)4〜5歳までには絶対に虫歯を作らない(お母様に頑張っていただきます)
 (2)簡単な治療(あまり痛くない治療)で対応できるように発見したら早急に通院を開始する
 (3)注射麻酔を伴う複雑な治療を要する場合はお母様も歯科医も覚悟して、根気よく対応する
  文字にすれば以上のように簡単ですが(3)については特に大変です次回詳しく述べたいと思います。
おおだち歯科通信NO.8
「小児歯科治療の注意点」 (2)
今回は前回の(3)「注射麻酔を伴う複雑な治療を要する場合はお母様も歯科医も覚悟して、根気よく対応する」について解説します。
 前回4〜5歳までの小さなお子さんの心理的なリスクについて触れました、小さなお子さんの心は薄い紙のようなもので、小さなストレスでもすぐに破れてしまいます、本人がまだ理解できない歯科治療などは大きなストレスとなります。我々はこの心の薄紙を破らないように細心の注意をして対応していますが非常に困難であることを理解していただきたいのです。さて進め方ですが
  一回目は歯科治療は攻撃やいじめではなく自分にとって大切な行為であることを時間をかけて理解させる、そして痛くないよう応急処置をする、ここから歯科医師とお子さんとの信頼関係の構築を始めます(歯科医師側は絶対嘘をつかない事が基本です)、その時に次回注射麻酔をすることを話し、少し痛いが我慢することを約束させておく(お子さんにも約束を守ることを求めます)
 このように2回目3回目とすすめてまいりますが、紙面の関係で続きは次回に譲ります。
おおだち歯科通信NO.9
「小児歯科治療の注意点」 (3)
 前回は4〜5歳までの小さなお子さんの1回目治療で歯科医師とお子さんとの信頼関係の構築(歯科医師側は絶対嘘をつかない事、お子さんにも約束を守ることを求めます)について話しました。
 さてこのようにして2日目(2回目)の治療に入りますが、小さなお子さんに1回で信頼関係を構築することは大変困難で、多くは泣いて騒ぎだします、ここで短気になったら負けです。父母の方の了解を得て、痛くない簡単な治療か応急処置をして再度約束を交わします。今度は具体的に「次のときにいやがったら押さえて治療するよ」とか「次のときにはいやがっても最後まで治療するからね」と念を押します。また治療の前には父母の方から、「約束だから頑張って」と勇気付けてほしいのです、この時「頑張ったらご褒美あげるからね」も良いと思います。 このようにして日数をかけて治療して10人のうち3、4人は治療が進んで行きますが、残りのお子さんはまだいやがり治療ができないままです。こうなるともう少し前記のような方法を繰り返すか、押さえてでも治療を進めるか父母の方との相談となります、詳細は次回に述べたいと思います。
おおだち歯科通信NO.10
「小児歯科治療の注意点」 (4)
さて、今回は、4〜5歳までの小さなお子さんで繰り返し約束してもいやがり治療ができない場合はどうしたらいいか考えてみたいと思います。 このような状態になった場合は、もう少し約束を繰り返すか、押さえてでも治療を進めるか父母の方と相談して治療方針を決めなくてはなりません。残念ながら実際に毎日治療を見ていると4〜5歳までの小さなお子さんでは半数近くが最終的に押さえて治療しなくてはなりません。 少し専門的になりますが、この段階での重要なポイントは「注射麻酔を確実に効かす」ということです、注射麻酔そのものは針を歯肉に刺すわけですから痛みがあり怖いものです、しかし治療に入って麻酔が効いていればほとんど痛みはありません、なかには治療中寝てしまうお子さんもいるのです。もしここで歯科医師が麻酔が効いていないのに効いていると勘違いして治療を進めればお子さんにとって拷問をしているのと同様に大変つらい思いをさせることとなり、心に深い傷を持った歯科医師嫌いの子供が誕生することになります。このようなお子さんはどこの歯科医院に行っても泣いて大騒ぎをするのです、これは歯科医師側の責任で、本当は本人がこわがりで泣き虫なのではないと感じます。ただ言い訳かもしれませんが診療室に入り、泣いて騒いでいるお子さんに麻酔をして、その効き具合を確認するころも至難の業であることも理解していただきたいと思います。


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