歯科診療ヒント (41)〜(45)

おおだち歯科通信NO.41
お口の病気と全身の病気」(その3)
・その他の病気の原因
前回は「お口の中に炎症があり細菌が多い状態」がなぜ脳梗塞や心筋梗塞の原因になるのかについて触れましたが、今回はそれ以外の病気についても確認してみたいと思います。第一に気になる病が糖尿病です。毛細血管から細菌が血管の中に入り全身に運ばれることは前回お話しましたが、その結果、細胞がつくるサイトカイン(注、参照)への影響やその他、細菌に対する生体反応が全身疾患を起こすことが分ってきました。サイトカインは多くのことにかかわっていますのでその影響は糖尿病をはじめ肺炎、呼吸器疾患、低体重児早産など多くの疾患の原因のひとつと言われています。これからの研究でまだまだ多くの疾患とのかかわりが出てくると思いますが、まずは歯周病を治すことが先決ではないでしょうか。クオリティオブ ライフの基本は口腔衛生環境の向上ではないでしょうか。
(注)サイトカインは細胞が生成する蛋白で、その機能は免疫系の調節、炎症反応の惹起、抗腫瘍作用などですが、最近では細胞増殖、分化、抑制といった生体の恒常性維持に重要な役割を果たす物質であることが明らかになっています
おおだち歯科通信NO.42
お口の病気と全身の病気」(その4)
歯周病以外のお口の病気
前回までは主に歯周病が全身に与える影響についてお話しましたが、今回はそれ以外のお口の病気についても確認してみたいと思います。まず思い浮かぶのが「虫歯」です、頻度も一番多いでしょう、次に親知らずの周りで起きる「智歯周囲炎」、清掃が適切でない「汚れた義歯」などです。義歯に関しては汚れ(歯垢)が表面に付着して、細菌叢をつくります、歯周病等とは若干違う経過ですがやはり影響は大きいです。虫歯は穴ができ時間の経過とともに深くなっていきます、そこは歯ブラシが届きませんので歯垢や汚れ、食べかすがたまり、細菌の塊となます。また放置しておけば悪化していき、時として慢性化して根の先端の炎症がひどくなります。また智歯周囲炎も歯の周りの歯肉に炎症が起き、似たような経過で進みます。歯垢の中の細菌が歯周病と同様に毛細血管から血管の中に入り全身に運ばれ、その結果、細胞がつくるサイトカインへの影響やその他、細菌に対する生体反応が全身疾患を起こすことは前回の歯周病と同様です。虫歯も放置しないで早めに治すことが大切でです。今回始めて読まれる方には分りにくいと思いますので詳細は、こちらにて「診療ヒント」を参照してください。
おおだち歯科通信NO.43
お口の病気と全身の病気」(その5)
・血管以外からの悪影響
前回までは歯周病菌が主に血管を経由して全身に与える影響についてお話しましたが、今回はそれ以外の経路について確認してみたいと思います。
まず考えられるのが「古くなった義歯」や新しくても清掃が適切でない「汚れた義歯」などです。義歯では汚れ(歯垢)が表面に付着して、細菌叢をつくります。次に歯についた歯垢、虫歯の中の汚れなどです。それらの中の細菌や細菌から出る毒素などが食道を通り胃を経由して内臓に悪影響を与えます。細菌に関しては胃酸である程度殺菌されるので健康な方はあまり問題ありませんが、体調を崩した方や、高齢者の場合は要注意です。
次に唾液や食物の誤嚥で細菌や毒素が肺に入ることが考えられます。その結果肺炎等を誘発し重篤な結果を招くことも稀ではありません。特に介護を必要とする寝たきりの高齢者の方では現在大きな問題として苦慮されています。
今回始めて読まれる方には分りにくいと思いますので詳細は、こちらにて「診療ヒント」を参照してください。
おおだち歯科通信NO.44
「歯の清掃はていねいに」
以前、このコーナーで「歯の治療が嫌いなら歯の清掃」と題して歯ブラシの重要性については触れました。その中で「歯と歯の間の部分は歯ブラシが入らないので20〜30%はいつも清掃出来ていない部分がある」述べ、デンタルフロス(清掃用の糸)と歯間ブラシは必要、不可欠である旨はお話しました。ただ最近、デンタルフロスや歯間ブラシの使用方法の誤りで逆に歯周病を悪化させている方を多く見ます。
歯肉を傷つけると傷口から細菌感染が起こり、治るまで歯周病での炎症と同様の状態となり結果的に歯周病を悪化させます。
多くは時間が無い、忙しい等で乱暴な清掃が原因です。まれに丁寧すぎる例もあります。
歯間ブラシの中心は針金で出来ていますので先端を歯肉に刺さないように、またフロス使い方はちょっと難しいですが、歯と歯の間の歯肉(かなり細いです)をきらないように清掃しなくてはいけません、これにはかなり慣れとコツが必要です。
不安のある方はいつでもお気軽に相談して下さい。
こちらを参考にして下さい。
おおだち歯科通信NO.45
医食同源 身体と食べ物」 vol.1
 今回から何回かで「医食同源」のキーワードのもとで少し分りやすくまとめたいと思います。一部以前の記述と重なりますが出来るだけ分りやすくするためにご容赦願いたいと思います。
 (1)「食べる」という行為
 まず思い浮かぶのが歯で食物を「咬む」ことです。咬むことで当然食べ物は物理的に細かくされ、同時に唾液で化学的に処理されます。
 それでは咬む事の効用は?詳細はNO.4に記載してありますが、食べ物をあまり咬まないで比較的大きなまま胃腸に送るとどうなるでしょう。主に胃では酸、腸では消化酵素がたんぱく質や脂質を分解しますが胃や腸が動いて物理的に分解するというより、混ぜることで化学的反応を促進すると考えられます。よく咬まないで食べ物を飲み込むと代謝の効率が悪くなるだけでなく、大腸につくまで未消化の部分が残り、腐敗によるガスの発生で健康を害しています。また、加齢とともに善玉腸内細菌が減れば益々助長されます。(続く)
バックナンバーはHP こちらを参考にして下さい。


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