歯科診療ヒント (81)〜(85)

おおだち歯科通信NO.81
「最近あった質問 9」
Q. 上顎であまり骨のない場合のインプラントは骨の移植などもあり、手術を2回、3回と繰り返し行うと聞きましたが結構大変ですよね。
  A. 2回にわたりインプラントについて述べてきましたが前回の話題に対して反響が大きかったのには驚きました。上顎の奥歯のインプラントを骨が薄いということであきらめている方が予想以上に多いのです。
  さて、今回の質問ですが確かに数年前までご指摘のように骨の厚さが1から3ミリ程度の方は手術を2回行う例がありました。1回目は植立部位の骨を厚くするためご自身の身体から骨を採取して、それを移植。2回目の手術は2,3ヶ月後に改めてインプラントの植立です。1回目の手術は骨の採取を含めると2箇所での手術となり負担は大きいです。
 現在では骨の移植は行わず1回でインプラントの植立まで行う特殊な手術法が開発され、手術時間もかなり短縮いたしております。また、骨のある場所を探し、位置が悪いのに無理に植立することからもある程度開放され成功率が格段に上がっています。
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おおだち歯科通信NO.82
「最近あった質問 10」
Q. 最近虫歯は治さなくても自分の力で自然に治るとテレビ等で特集されていますが本当ですか?
 A. 質問の内容をそのまま鵜呑みにしてしまうと問題です。テレビでの放映内容を見ると画面では大きな虫歯も実際にはかなり小さく、表層のエナメル質に限られているようです。(一部解釈により象牙質を含む場合あり、またレーザー治療の対象になるような場合を除く)
 やはり第2層の象牙質にまで及ぶ虫歯は大きい、小さい関係なく歯科医院でしっかり治しましょう。
 さて、再石灰化で直る虫歯はかなり昔から我々歯科医は承知しております。このような虫歯は患者さんに「進行する可能性が低いので手をつけないで定期健診ごとにチックして様子を見ていきましょう」と提案してきました。しかし、一部の患者さんですが、「精密にチェックしてすべて直してほしい」と望まれる方がいらっしゃいます。説得するのは結構大変で、いい加減な歯科医院だと思われるのも困りますので丁寧に説明して後は患者さんの意思に従うようにしています。最近のマスコミでの放映は少々助かっています。
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おおだち歯科通信NO.83
「最近あった質問 11」
Q. 近く歯を抜くことになりましたが、以前より血栓症予防のため血液をさらさらにする薬を飲んでいます。歯を抜いた後、血が止まらなくなるので主治医と相談してくださいと言われました。その薬を止めている間は問題ないですか。
 A. 質問内容に関しては歯科医ではなく主治医である医師の判断に従ってください。
 以前は2週間ほど薬を止めて薬効の切れたところで歯を抜くのが主流でしたが、最近、薬を止めている間に病状が悪化し重篤な状態になった例もあります。そこで、もうひとつの選択肢を選ぶ例が増えています。それには歯科医院側の体制が整っていることが条件ですが、血液をさらさらにする薬はそのまま飲続けていただき、歯を抜いた後に止血薬等で強制的に止血する方法です。止血の責任が歯科医側になりますので外科的経験の少ない歯科医は嫌がる傾向もありますが、これからこの方法が徐々に増えていくと思います。繰り返しますが最終判断は歯科医ではなく主治医である医師の判断に従ってください。 
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おおだち歯科通信NO.84
「最近あった質問 12-@」
Q. 大変痛がりなので無痛治療を望みますが、どのようにするのですか
 A. 無痛治療にはいくつかの方法がありますので何回かに分けてお話したいと思います。
 まず、別格な方法として、全身麻酔による歯科治療があります。大学病院や一部の歯科医院で麻酔医を招いて行っています。一般的に治療が困難な障害児者等の治療によく使われます。しかし、一般の人(健常者)が対象となる場合はいくつかの問題があります。基本的には無痛治療を目的とする場合、社会保険のルールとして全身麻酔料も含め、すべての治療は保険外となることです。麻酔導入剤のみで行う場合でも麻酔医が必要で条件は同じです。
 その他、全身麻酔は身体への負担が多いため治療の内容にかかわらず、できるだけ回数を減らした集中治療で対応しなければいけません。あまりお勧めではありません。
 次回以降もう少し一般的な無痛治療についてお話します。
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おおだち歯科通信NO.85
「最近あった質問 12-A」
Q. 大変痛がりなので無痛治療を望みますが、どのようにするのですか
 A. 前回お話した、全身麻酔、あるいは麻酔導入剤による無痛治療は健康保険が使えず、全身的負担も考えると一般的ではありません。今回はもっとリスクの少ない無痛治療についてお話します。
 いろいろな方法がありますが今回から紹介する方法を組み合わせできるだけ痛みを与えないようにしています。
まず、麻酔注射時の痛みを嫌がる方が多いです。そのため、注射前に表面麻酔を塗ります。一番簡単でリスクが少ないので無痛治療を標榜していない多くの歯科医院でも実施されています。次にセットで行われているのが注射麻酔時に麻酔液を弱い力で時間をかけ、ゆっくり入れることで痛みを減らす方法です。この方法も時間と手間はかかりますがほとんどリスクがありません。
もうひとつ併せて注射針を細いものに変えると効果が少し上がります。この三点セットで無痛治療を標榜している歯科医院もあります。
 まだまだありますが紙面の関係で次回に譲りたいと思います
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