NO.103 インプラント手術の安全性確保とは(1)

最近、NHKにて頻繁にインプラントの危険性を報道している。私もかなりのインプラント手術をこなしているが現在までは事故とは無縁できている。運か良いだけかと考えるときがある。一昨年インプラントで死亡事故が起きた。原因はドリルで前歯付近の薄い骨を削っているときに誤って舌側に突き抜けて舌動脈を切断して、大量血液で窒息死したと聞いている。
やはりNHKの番組で、学生実習にて薄い骨にドリルでインプラント埋入の練習風景を見ました。一部の学生はドリルが骨の壁から突き抜けており眼を覆うばかり。指導医は「こんなにも簡単に事故が起こるという事を認識してもらいたいと思い」と述べていました。
どのように熟練した歯科医でも事故は起こりえます。ではどうすればいいのか?原因を考え工夫することが必要なのです。私はこのような症例ではドリルを使いません。上部の硬い骨を一層バーで削りその後はアイスピックのような道具を使い、手の力で少しずつ骨を広げていきます。結構、力を必要しますが手の力では骨の壁を破るのは困難です、当然事故が起こる余地 はありません。すべての症例で事故を防ぐ知恵とシステムが必要です。