NO.43 「お口の病気と全身の病気」(その5)

 ・血管以外からの悪影響
前回までは歯周病菌が主に血管を経由して全身に与える影響についてお話しましたが、今回はそれ以外の経路について確認してみたいと思います。
まず考えられるのが「古くなった義歯」や新しくても清掃が適切でない「汚れた義歯」などです。義歯では汚れ(歯垢)が表面に付着して、細菌叢をつくります。次に歯についた歯垢、虫歯の中の汚れなどです。それらの中の細菌や細菌から出る毒素などが食道を通り胃を経由して内臓に悪影響を与えます。細菌に関しては胃酸である程度殺菌されるので健康な方はあまり問題ありませんが、体調を崩した方や、高齢者の場合は要注意です。
次に唾液や食物の誤嚥で細菌や毒素が肺に入ることが考えられます。その結果肺炎等を誘発し重篤な結果を招くことも稀ではありません。特に介護を必要とする寝たきりの高齢者の方では現在大きな問題として苦慮されています。