NO.41「お口の病気と全身の病気」(その3)

 ・その他の病気の原因
前回は「お口の中に炎症があり細菌が多い状態」がなぜ脳梗塞や心筋梗塞の原因になるのかについて触れましたが、今回はそれ以外の病気についても確認してみたいと思います。第一に気になる病が糖尿病です。毛細血管から細菌が血管の中に入り全身に運ばれることは前回お話しましたが、その結果、細胞がつくるサイトカイン(注、参照)への影響やその他、細菌に対する生体反応が全身疾患を起こすことが分ってきました。サイトカインは多くのことにかかわっていますのでその影響は糖尿病をはじめ肺炎、呼吸器疾患、低体重児早産など多くの疾患の原因のひとつと言われています。これからの研究でまだまだ多くの疾患とのかかわりが出てくると思いますが、まずは歯周病を治すことが先決ではないでしょうか。クオリティオブ ライフの基本は口腔衛生環境の向上ではないでしょうか。
(注)サイトカインは細胞が生成する蛋白で、その機能は免疫系の調節、炎症反応の惹起、抗腫瘍作用などですが、最近では細胞増殖、分化、抑制といった生体の恒常性維持に重要な役割を果たす物質であることが明らかになっています