NO.10 「小児歯科治療の注意点」(4)

さて、今回は、4~5歳までの小さなお子さんで繰り返し約束してもいやがり治療ができない場合はどうしたらいいか考えてみたいと思います。 このような状態になった場合は、もう少し約束を繰り返すか、押さえてでも治療を進めるか父母の方と相談して治療方針を決めなくてはなりません。残念ながら実際に毎日治療を見ていると4~5歳までの小さなお子さんでは半数近くが最終的に押さえて治療しなくてはなりません。 少し専門的になりますが、この段階での重要なポイントは「注射麻酔を確実に効かす」ということです、注射麻酔そのものは針を歯肉に刺すわけですから痛みがあり怖いものです、しかし治療に入って麻酔が効いていればほとんど痛みはありません、なかには治療中寝てしまうお子さんもいるのです。もしここで歯科医師が麻酔が効いていないのに効いていると勘違いして治療を進めればお子さんにとって拷問をしているのと同様に大変つらい思いをさせることとなり、心に深い傷を持った歯科医師嫌いの子供が誕生することになります。このようなお子さんはどこの歯科医院に行っても泣いて大騒ぎをするのです、これは歯科医師側の責任で、本当は本人がこわがりで泣き虫なのではないと感じます。ただ言い訳かもしれませんが診療室に入り、泣いて騒いでいるお子さんに麻酔をして、その効き具合を確認するころも至難の業であることも理解していただきたいと思います。